富士登山競走を完走する方法、練習方法2
2.装備、補給水
 余計な荷物を持たない。重量については平地のロードレース以上に気を遣う。

(1) シューズ
 グリップと重量は相反する。トレランシューズはグリップが良く悪路に強いがソール&アッパーが厚いので重い。ランニングシューズの特性は逆。で、半分がロードレースであることや、登りオンリーの登山道では突き上げが無いことを考えると重たいトレランシューズはあり得ない。というか底辺のランナーは完走できなくなる。長い時間行動したり一般的なトレランレースに出るならトレランシューズだけどコースの特性からすると確実にランニングシューズだろう(自分は一般富士登山ではマウンテンマゾヒスト、登山競走ではターサーを使い分けている)。火山灰ザクザクの登山道ではグリップにそんなに違いは出ない。岩場も下るわけではないので突き上げに困ることもない。
 ランニングシューズといって250gを超える鉄下駄はNG。4時間後にモモ上げ筋が悲鳴をあげる。あとソールにはターサーやアディゼロの様な、あのプラスティックの様なイボイボが付いているものがよいと思う。使い古しで、あのイボイボが無いヤツは流石に滑るかもしれない。シューズが傷むのはあくまで下山のときだけ。よく云われるように一回でお釈迦になることはない。むしろ新品のターサーやアディゼロでテンションを上げるのもアリかと。ちなみに下山の際に火山灰が入ってくるのが嫌な人はモンベルのショートスパッツを携帯するとよい。コンパクトでオススメ。
#追記:ノースフェースのシングル トラック ハヤサは206gだそうで。
(2) ウェア
 気温は100m当り0.6度下がるといわれるが、早朝にスタートして気温が上昇するお昼にゴールするので、そこまでひどくない。64回大会はスタート&ゴール地点で気温は殆ど変わらなかったと思う。なのでランパン・ランシャツでイケる。レース中は当然寒さは気にならないが、山頂ゴールした後でも意外に寒くない。例えるなら1月のフロストバイトのように寒くはない。なので普段、ロードレースで着ているウェアでよい。馬返しまでは真夏のロードレースなので返って着込み過ぎに注意したい。どうしても寒さが心配ならコンプレッションウェアがよいと思う。そもそも低体温症が心配されるような気象状況であれば五合目で中止になるだろう。オススメは支給されるビニールポンチョ。これが山頂ゴール以降の防寒兼火山灰対策になる。参考までに冷え性体質の自分は、上はCWXロングスリーブの上にTシャツを重ね着、下はランパンの組み合わせ。

(3) ザック
 ザックはトレラン用のコンパクトタイプを含め要らない。本当に完走できなくなる。偶にトレランレースと勘違いしてハイドレーションまで背負っている方がおられるがスタート直後に後悔することになる。ロードレースでザックやハイドレーションを背負う人がいたら失笑モノだろう?オススメはウエストポーチ。小物が収納できてボトルが1本挿せるやつがよい(スタートでボトルは持たない。エイドの無くなる七合目以降に買う)。それ以上は止めたほうがよい(毎年50Lザックで完走する吉本さんは例外なのでマネしないように)。
 自分はGOLITEのウェストポーチ。ボトル部に軍手を収納。ポーチ部にビニールポンチョ、ケータイ、小銭(山小屋でペットボトルを買う)、サプリを収納。ウエストストラップ部にパワーバージェル用のミニボトルを挿した。

(4) 小物
 ウエストポーチの他は(山グローブを持ってなければ)軍手が必須。指ぬきグローブはNG。馬返しからは大腿に載せた手が滑らない。7合目からは岩場の三点支持に。手すりや鎖でもしっかり体を引き上げられる。あと必須ではないがオススメはバンダナ。五合目までは大量の汗をかくので頭に巻いておくと目に汗が入らない。下山の際は火山灰対策のマスクとして使えるので一石二鳥。

(5) 補給食&給水
 レースの3時間前に朝食を摂るとして最高の運動強度のなか7時間以上もメシを食べないことになる。無策ではハンガーノック(グリコーゲンの枯渇)を起こし底辺なりのパフォーマンスが更に発揮できなくなってしまう。

A 補給食
 グリコーゲンの枯渇を抑えるために数時間先の体力と消化吸収時間(滞留時間)を考慮してコマメに糖分を補給する。切れてからでは遅い。行動食はカロリー重量比が優れ胃内滞留時間の短い炭水化物がよいと思う。エイドではバナナを1切れといわず最低でも2、3切れ以上必ず食べる。フルーツ類は消化が良く2、30分で胃を通過する。携帯する補給食として、油脂、乳製品は滞留時間が長く吸収が遅れるので自分は避けている(例えば牛乳200ccは胃に2時間滞留する)。
 オススメはパワーバージェル。カロリー重量比が優れている上、ナトリウム濃度が高い。専用の120ccミニボトルに4袋分が丁度入る(合計で塩分換算2g、480kcal)。これをウエストポーチのストラップに着けて登りながらコマメに摂取する。テイストはグリーンアップル味に限る。カフェイン25mgを含んでいるため絶対に選ぶべき。トレラン、登山、ロードバイクをやると体感できるが、数時間に渡る運動中にカフェインの強心・興奮作用は大変効果があるのでオススメ。チャリのロードレースでも選手達はカフェイン入りの補給食を使っている。心拍が上がらなくなったらカフェイン。
 ただし、スタート前のカフェイン類は脱水症状になる恐れがあるので止めたほうがよい。なお、パワーバージェルは味に面食らうかもしれないが、ナトリウムが大量に入っていることを頭で理解すればイケるようになる。どうしてもなじめない人はパワーバージェルブラスト(グミ)もある(宣伝してるわけではないけど)。

B 給水
 スタート時にハイドレーションは絶対に背負わない。ペットボトルも要らない(ペットボトルを腰に挿して10kmのロードレースは無理だろう)。エイドで十分、間に合うので安心して欲しい。脱水を心配するような体調であればそもそもDNSすべき。7合目からはエイドが無くなる代わりに頻繁に山小屋のテラスを通過するので500ccのスポーツドリンクをゲットする。数秒で買える。ここでようやくウエストポーチに飲み掛けのペットボトルを挿す。なので500円玉を1枚持っておくこと。

C アミノ酸
 本番中のドーピングとしてエイドのバナナ、パワーバージェル(カフェイン含む)のほかはアミノ酸だろうか。自分もアミノバイタルやウィグライをスタート前やエイドの度にバカみたいに大量摂取した。ちなみに血中濃度を上げるには一度に4g以上摂取する必要があるのでアミノバイタルタブレットは気休めにしかならない模様。


3.トレーニング
 練習は本番に近い環境がよいが地元でない限り難しい。さりとて平地だけの練習は難しい。山の練習は山でしかできないと思う(例えば踏み台昇降運動を何時間も続けられる人はいないだろう。階段にしても同じ)。ただ低山であっても工夫できるので近くの山を探してみよう。場所は1,2回の練習では意味はないので通える山に限る。

(1) 峠トレ
 峠トレのメリット。私がよく行くコースである、ときがわ町、白石峠でいうと...
 ・激坂ロードが片道10km(西平~堂平山)続くので長めの運動時間が確保できマス。
 ・距離が稼げる上、斜度も一定でないので斜度に応じた坂道の走り方も研究できマス。
 ・白石峠もしくは堂平山山頂までのピストンになるので、復路の激坂駆け下りでは伸張性筋収縮を行うことになり筋力が付きマス(登りよりむしろ下りで鍛えられる)
 ・ロードバイクおやじが沢山いるので偶に競走相手になりマス。神奈川ならヤビツ峠ですかね。
 #埼玉の方であれば西平運動場に車を停めて白石峠ピストン、堂平山ピストン、足を伸ばして定峰峠ピストンを楽しめマス。ピークまで歩かずに走り切ろう。

(2) トレイルランニング
 トレランのメリット。私がよく行くコースである飯能市、伊豆ヶ岳(正丸駅~伊豆ヶ岳~吾野駅)でいうと...
 ・ロード区間を駆け上がって登山道に突入するので本番シュミレーションになりマス(これはスクワットの後の空気イスに似ている!)
 ・一度山に入ると数時間は出てこられないので飽きやすい自分でも長めの運動時間が確保できマス。
 ・ピークハントのピストンコースではなくミニ縦走コースになっており、峰と鞍部が無数に現れるため必然的にインターバル運動になりマス。
 ・下り斜面を駆け下る際に伸張性筋収縮を行うため筋力が付きマス(登りはおまけ)。
 ・登山道は路面が一定ではないため平行感覚が鍛えられるマス(バランスがよいと体を立て直す際の消耗が減らせるようになる!)
 #埼玉の方であれば吾野駅~子の権現~伊豆ヶ岳~正丸駅~吾野駅間を国道を入れて時計周り、反時計周りで毎週楽しめマス。時計周りでは畑井~子の権現の車道区間は歩かずに走り切ろう。

(3) 筋トレ
 自分は筋肉が無い人間なので、あんまし詳しくない。スクワットと踏み台昇降運動で大腿四頭筋や大臀筋。カーフレイズで下腿三頭筋がポピュラーかと。それと大腿直筋?縫工筋?要はモモを持ち上げる際に使うところ。骨盤のトリガーポイントに近い場所。登る動作は大腿を引き上げる動作なのでここがすぐに痛くなる。てか脚があがらなくなる。マニアックなところでは足底筋。フォアフットするならここを鍛えておかないと足底筋(腱)膜炎になる。つまり急にフォアフットで長い距離を走ることは出来てもやってはいけない。徐々に距離を伸ばす。あと筋トレはある程度期間が必要なので逆算するとGW前には始めておく必要がある。
 自分は、お風呂でシャワーを浴びながら片足カーフレイズを左右100回ずつ、片足モモ上げ運動(胸に付くくらい高く)を100回ずつ、そんくらい。スクワットはトレランで足りているだろうから無し。備忘録としては片足モモ上げ運動は期間&回数を増やしたほうが良かったなぁと反省(3,4合目で痛くなった)。
 知ってのとおり筋トレだけで必要な筋肉を付けるのは難しい。ボディビルダーの様に余計な荷物を増やしてもいけない。あくまで山に行けない平日に刺激を与える程度と割り切って、鍛えるなら実際の山で、と考えたほうがよいと思う。

(4) プロテイン&アミノ酸
 富士登山競走では余計な筋肉も荷物になる。練習では筋肉の「異化、同化」を意識しながら必要な筋肉を足して不要な筋肉を落とす。つまりある程度の期間が必要。脂肪は論外。「超回復」も考慮して効率よくプロテイン(アミノ酸)を摂る。ゴールデンタイムをイチイチ意識するのはアレなんで睡眠前に摂取すれば間違いないと思う。ちなみにホエイプロテインは消化吸収が良いとされるが牛乳で溶くと胃の滞留時間が長くなるので、運動直後に摂取してもゴールデンタイムに間に合わなくなる。なので水かジュースで溶くこと。あとクレアチンは荷物&燃費の悪い筋肉量が増えるのでどうかと思う。

(5) カーボローディング
 筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンを増やす方法。詳細はググられたし。

A 古典的な方法
 本番7~4日前に一旦食事から炭水化物量を減らした上で(グリコーゲン枯渇)、3,4日前~当日朝食までイッキに炭水化物を増やすことで筋&肝グリコーゲン量を増やす方法。炭水化物を減らすメニューは結構難しくて、思いついたのが「おかず+米飯」を「おかず+ビール」に替えるというもの。ビールも炭水化物だけど絶対量は米飯より少ないと思ったわけ。けどテーパリング期間は、吸収効率を考慮するとタンパク質と炭水化物を合せて摂取しておきたい期間でもある。タンパク質の吸収効率が悪くなって調整を失敗するリスクがあるので無理がある→なので普通はやらない。

B 失敗しない方法
 前段の炭水化物量を減らす期間は設けずに単純に3,4日前から食事の炭水化物量を増やす。これでも十分効果はあるのだそうだ。むしろ回復ミスなど調整を失敗するリスクも少ない。本番3、4日前から毎食の米、パン、甘い物の量を2,3倍に増やす。前の晩は富士吉田市で回転寿司が王道だろう。当日朝もモリモリ食べる。朝、食べられなかったら完走は諦めよう。

C 失敗しない方法+
 瀬古さんの大会前日の1kmダッシュ1本をパクる。多分、瀬古さんにとってはジンクスみないなもんで深い意味は無かったのだろう。実は、中距離ダッシュ(1本だけ。運動強度高め。LSDではダメ)して、直後から本番までの24時間に炭水化物を大量摂取すると、体が飢餓環境と勘違いして体内のグリコーゲンの量が急激に増えるのだそうで。前日の1kmダッシュには意味があったわけ。
 だた、せっかく蓄えたグリコーゲン。本番1週間前になっても焦って長い距離をガシガシ走っているようでは浪費するので安静すること。そもそも2、3週間前からはテーパリング期間。テーパリング期間にハードな練習しているようなメニュー構成はそもそも失敗かと。

(6) テーパリング
 体は強い負荷に順応しようとする。なのでトレーニングはハードなほうが効果がある。当然、負荷に耐えられる体力が前提。ただ、どんなに体力があっても限界はある。なので運動量を限界まで増やすには、同じ運動量を本番直前まで維持するのではなく、ロケット段階的に、例えば本番の3週間前にピークを持ってくることで体力なりに最大限の運動量が稼げるようになる(逆に本番直前まで同じ運動量を続けられるということは、もてる体力を使い切らずにダラダラ練習していることになる。例えばLSDはベースアップや体力維持向けでしかない)。ピークの後は運動量を徐々に落として調整する。ハードな練習をしたぶん、本番までに体力を回復する必要がある。
 よく超回復期間は1~3日間と云われるが、それはあくまで一部の筋肉だけの話。体内のミネラルバランス、ヘモグロビン、赤血球量、腱や骨などの修復はそんな短期間では済まないハズだ。グリコーゲンも増やす必要がある。なので、仮に本番3週間前をピークに設定したら、そこから運動量を徐々に落とす。体はハードな練習を憶えているので、それを基準にして体力を回復修復する。運動量を減らしても短期間でパフォーマンスは落ちたりしない。むしろ体力が回復していない状態で本番当日を迎えるほうがマズい。究極、本場前日まで走り続けるくらいなら2週間前から一切走らないほうが本番では体力が上になっているハズだ。例えば、私は東京マラソンのとき事情があって本番18日前から走るのを止めたけど当日は驚くほど体が軽かった(運動量は徐々に落としたほうがよいそうなのでマネしないように)。試しに富士登山競走のあと2,3週間振りに走ると無限に走られるような感覚になるのでお試しあれ。
#ハードなトレーニングを始めると疲労の蓄積で一時的に体力が落ちる時期がある。そんなとき休養やLSDを挟んだりすると思う。疲労の蓄積って曖昧だけど、ひとつに貧血があると思う(ハードトレーニングにより汗から鉄、内臓や毛細血管で赤血球が漏れたり破壊したりする)。そんな時やテーパリング期間は鉄剤を摂取しておいて損はしないと思う(小林製薬のファイチは便が固くならかったのでオススメ)。なお、鉄は用量を守らないと死んじゃうので要注意。

#スタート前の市役所。自衛隊員、消防隊員、体育教師など黒くて硬そうな人ばかり。恐ァ。白くて軟らかそうなカタギは自分と同僚くらい...。
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by tomorou_takurou | 2012-06-10 23:43 | ランニング
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